劇団、本谷有希子(アウェー)「密室彼女」

劇団、本谷有希子
2006.5.3.〜5.9. 下北沢ザ・スズナリ
企画:乙一×本谷有希子 
出演:加藤啓(拙者ムニエル吉本菜穂子 杉山彦々
結局どこらへんが密室だったのかというとそれは貴女の心です、といった感じの、鳥肌が立つくらいベタベタなレンアイ劇。そこに設定の不気味さと細切れにされて順番に提示される真実が加わって、観ている人間をたまらなく不安にさせます。なにが起こっているのかだんだんわかっていくという過程がなにより怖い。

怖いんだけどのめりこめない。吉本菜穂子さん演じるヒロインが周囲の人間との相互不理解を語って「何も言いたいことが無いんだったら黙っていればいいのに」みたいな台詞を口にしていて、背中の辺りが痒くなりました。この台詞が劇中から乙一っぽさを払拭して本谷有希子にしている、んじゃないでしょうか。こういう生臭くて安っぽい台詞は乙一作品には似合わない、とかそういうことよりも、こういう若さ炸裂な独白のシーンは個人的に聞いていて恥ずかしい。担当していたオールナイトニッポンもなにひとつ好きになれなかったし、本谷有希子とは根本的に相性が悪いのかもしれません。

ところで僕が見に行った9日の夜公演には乙一が来てました。劇場を出たすぐのところで関係者らしき女性としゃべっていましたが、あれが本谷有希子なのかどうかはよくわからなかったので無視して真っ直ぐ帰りました。おなかすいてたしね。