北京蝶々第6回公演「コトバのサクラ」

北京蝶々
2006年5月17日(水)〜22日(月) 早稲田劇研アトリエ
作・演出:大塩哲史
出演:赤津光生・帯金ゆかり・鈴木麻美・三浦英幸・森田祐吏・垣内勇輝・太田美登里・岡安慶子・鈴木淳子・田渕彰展・長岡初奈・満間昴平
18日の公演を鑑賞。早稲田の新入生らしき学生(女の子多め)が目立ち、木曜夜にもかかわらず満員御礼でびっくり。暗がりの中うっすらと見える近未来っぽい舞台セットも格好いい。

コミュニケーションロボットシステム 「サクラ」、すなわち人間そっくりのロボットを通して相手とコミュニケーションをとるシステムが存在する世界。「フォーラム」と呼ばれる場所に集った人々は、相手がどんな人間なのかわからないまま、会話やふれあいを楽しんでいたが、そこに家出した妻を捜している男がやってきて・・・。

ユーザーとロボットを演じる二人がいて、ユーザーの動きサクラが同時にトレースしなきゃいけないので大変(舞台の構成上、お互いの動きはほとんど見えない。)。ちょっとでも動きをミスると観客が醒めてしまうような厳しい演出であり、ちょっとストイックにすぎるような気がする。観ていて窮屈だったと言えなくもない。オカマ喋りをしていたサクラ役の人は上手かった。

素敵だったのは駄目エンジニア、タナカを演じる帯金ゆかりさん。ただの白痴キャラかと思いきや、裏側が明かされてきてだんだんと狂気が見え隠れしてくる様にはゾクゾクする。こないだ観にいった少年社中にも客演されていた鈴木麻美さんは日々の生活に疲れてますな女性を演じていて、これがまたハマり役。最後の暴走シーンはかなり引き込まれた。何らかの教訓を残して終わるのかと思いきや意外にブラックだったラストにはびっくり。

早稲田劇研において現在唯一の劇団であるだけあって、かなり「しっかりしている」芝居をみせてくれました。手塚治虫のSF作品を髣髴とする、ベタだけどやっぱいいよねな話の作り方も好み。次回公演も行きますよ。