平山瑞穂「忘れないと誓ったぼくがいた」

なにかに夢中になっていた日々の痛々しさとか、日記を読み返すときの気恥ずかしさとか、青春っぽいもののすべてを奪われた男の子の物語。経験値を積まなければレベルアップできないという現代的感覚に基づけば主人公の人間的成長はありえないわけだが、そこをひっくり返してあざとく青春させちゃうあたりがさりげなくファンタジー(SF)。

それにしてもあれだな、つくづく人の恋愛なんてどうでもいいな。作者の文章が達者なせいか、読んでいてむかついたりはしなかったけど、のめりこめもしなかったのは、知らないやつの恋愛なんてどうでもよくて、読んでいる間ずっと心の底で彼らの破滅を望んでいる自分に気づいて自分が嫌になるからなんだよな。心狭いですからね。別に主人公とそんなに仲いいわけじゃないし、僕。