親族代表「小(りっしんべん)」

親族代表
2006年8月8日〜13日 新宿THEATER/TOPS
脚本・演出:福原充則(ピチチ5)
脚本提供:小林賢太郎ラーメンズ) 千葉雅子(猫のホテル) ブルースカイ 本田誠人(ペテカン)
出演:嶋村太一 竹井亮介 野間口徹
13日昼の千秋楽を鑑賞。「GOLDEN BALLS LIVE」でラーメンズと共演して以来一躍有名になったりならなかったりしている野間口徹の所属する劇団というかコントユニット『親族代表』の本公演。その縁か今回のオムニバス形式でのコント脚本提供者の中にラーメンズ小林の名前が。そのほかの人も普通に豪華。

喪服を着ていくと500円割引ということで、僕なんか暑い中張り切って着ていったのに喪服姿の男の人があんまりいなくてちょっと寂しかったり。女の人は結構着ていた。というか女性客が本当に多かった。こんな地味な顔の男たちの一体どこに夢中になれるんだと憤っていたら結構面白かったです。前半は苦笑いも混じってたけど後半は結構本気で笑った。以下それぞれの感想。()内は脚本を書いた人。公演終わったのでネタバレしまくりで書きますが、カーテンコールで竹井さんが「今回の公演はDVDになる」といっていたので、それで楽しみたい方は読まないほうがいいかも。

1.「影響を受けた人とその友人とその友人」(小林賢太郎)…男3人がファミレスで語り合う。ツッコミ役(竹井)が別に常識人なわけではなく、影響を与える友人(嶋村)に振り回され続けている、という面白さがいまいち伝わってこず。竹井が野間口相手にひとつのネタで天丼しまくるのだけど、役者(のキャラ)にはまりきれている訳でもない僕には鬱陶しくてしょうがない。どうでもいいけど、こう並べるとこのタイトルだけずいぶん浮いているように思う。

2.「男心」(本田誠人)…合コン経験ゼロの男たちが合コンの大海原へと繰り出すぜ、という話。最初は男だけで団結しておきながら、ちょっと受けると個人プレーに走る男たち、という面白さをすごくまっとうに描く。野間口ファンは不自然なほど手品に感心してたけど、そんなにすごかったか?

3.「情熱な男たち」(嶋村太一)…竹井亮介葉加瀬太郎の格好でエアバイオリンをするというコント。それだけ。場繋ぎ感はありありだけど、ファンなら笑えるかも。それにしてもこれ見て以来、情熱大陸のテーマが頭から離れない。次のコントとの間に『暫くお待ちください』が入ったけど、あの時間だったら映像ネタをひとつ入れられたと思うので、なかったのは残念。

4.「泥人間」(千葉雅子)…うらぶれた中華屋を舞台にした異色作。千葉雅子ワールドで居心地悪そうに泥臭い労働者を演じている3人に笑い泣き。オチてるのかオチてないのかすら微妙なラストもプロレタリアートである(よくわからん)。

5.「チキンブルース」(嶋村太一)…歌のコーナー。というか、「泥人間」から続けてこれだったので、これも含めてひとつのコントなのだと思っていた。

6.「天文クラブ」(福原充則)…今回のベスト。何かがひとつひとつズレていって壮大な狂気を生み出すという構成には脱帽。張り切った演技よりもどこか胡散臭い3人のほうがしっくりきている。中学の天文部が舞台で、文化祭の準備をする話なのだけど、コント中「天文部の展示なんて誰も見に来ない」という台詞が多々あり、切なくなった。

7.「野間口徹と…」(ブルースカイ)…今回の裏ベスト。ドラマや映画やCMに出てどんどん有名になっていく野間口(誇張あるけど大体本当)が親族代表を『野間口徹と親族代表』にしてくれ、とか言い出す話。あんま面白くなかった小林脚本をこのコントの伏線に使うという大胆さには天晴れ。喪服着てきてよかった。