鉄割アルバトロスケット「高みからボラをのぞいてる」

鉄割アルバトロスケット
2006年8月17日〜20日 こまばアゴラ劇場
劇作:戌井昭人 
演出:牛嶋美彩緒
出演:内倉憲二、奥村勲、中島朋人、中島教知、田山雅楽子(kiiiiiii)、大根田雄一、木村秀治郎、小林滋央、南辻史人、伊藤麻実子、古澤裕介(ゴキブリコンビナート)、東洋テスタッチ、霜村電発(ともに東洋組)他
ユリイカ」の小劇場特集で柴田元幸先生もなぜか褒めていた鉄割アルバトロスケットを初めて観る。19日昼の回。全席自由なので調子こいて一番前のど真ん中に座ったらえらいことになった。

たぶん主演、だと思う内倉憲二さんとゴキブリコンビナートの古澤さんはまったく違うタイプのキャラながら迫力満点。古澤さんが切れて女の顔に見立てたキャベツを殴り続けるシーンはかなり胸に来るものがあった。内倉さんは普通に格好良い人なのに普通に格好良い役どころでなんだかずるい。

大体五分ぐらいの短い話を繋げてひとつの話を作ったり作らなかったり。それが一時間半延々続く。コントだか芝居だかパフォーマンスだか言葉で説明しづらいのだけど、とにかくなんでも詰め込んで文句を言われないようにしている。不条理と言っていいと思うし、物は飛んでくるしでやってることはいわゆるアングラ演劇っぽいけど気持ち悪いものがほとんど出て来なかった(鳩を殺すシーンで本物の鳩の死体出てくるかと思ったけど違ったし)ので、そこらへんこだわりがあるっぽい。

そういえば公演告知には「なにかが飛んでくるかもしれませんが云々」と書いてあって、なにが飛んでくるのか楽しみにしていたのだけれど、では結局なにが飛んできたのかといえば武器として使われていたネギだった。あとキャベツと沢庵。

この「ネギで殴りあう」というのがこの劇団の持ちネタのひとつらしいのだけど、僕はそれを役者たちが1本づつネギをもってチャンバラをやる的な光景を想像していたらこれが大間違い。10本くらいを束にして乱闘に突入し、10人くらいが文字通りバカスカ殴りあう。容赦なく客席に飛ぶネギの破片。一番前はヤバイ。結果として劇場中がネギくさくなり、終演後はそそくさと退散しました。野菜が値上がりしている中よくやるなあ、としみじみ思う僕でしたとさ。